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熊谷 友多; 永石 隆二; 山田 禮司; 室屋 裕佐*; 勝村 庸介
no journal, ,
水溶液中の放射線誘起反応に対する酸化物の添加効果を調べるために、シリカナノコロイド水溶液を試料として、ラジオリシス法を用いて金属イオンの還元収量の測定を行った。その結果、金属イオンの還元収量はシリカコロイドの添加量の増加に伴ってわずかに減少し、シリカの添加による水分解の促進は認められなかった。そこで、放射線によって誘起されるラジカルのシリカナノコロイド共存下での反応についてより詳細に調べるため、アルコキシド法によりシリカコロイド溶液を調製し、パルスラジオリシス法を用いてOHラジカルと炭酸水素イオンの反応によって生成する炭酸ラジカルの過渡光吸収を測定した。その結果、シリカコロイドの添加によって炭酸ラジカルの生成量が減少した。これらの結果から、シリカコロイドとOHラジカルとの反応が示唆され、放射線触媒の添加効果にこの反応が重要な役割を持つことが推察される。
熊田 高之; 能田 洋平; 橋本 竹治; 小泉 智
no journal, ,
われわれは動的核スピン偏極(DNP)法と、中性子小角散乱(SANS)法を組合せ、照射試料中に生じたスパー,ブロブ,ショートトラックの構造決定を行おうとしている。われわれは、DNPとSANS法を組合せ、ポリエチレン試料中に分布するラジカルの空間分布に関する知見を得ることに成功した。本結果はDNPとSANS法がスパー等の構造決定に有用であることを支持する。
佐伯 誠一; 長澤 尚胤; 廣木 章博; 森下 憲雄; 玉田 正男; 室屋 裕佐*; 工藤 久明*; 勝村 庸介*
no journal, ,
カルボキシメチルセルロース(CMC)などの多糖類誘導体は濃厚水溶液における放射線照射により架橋反応を起こしゲル化するが、CMCの放射線架橋メカニズムを理解するうえで、生成したラジカルの挙動については明らかになっていない。そこで本研究では、CMC水溶液の放射線誘起ラジカルの反応挙動を明らかとするため、放射線照射後残存する長寿命ラジカルの挙動について紫外・可視吸光測定及びESR測定を行った。紫外可視吸光測定の結果、照射数分後以降の長寿命ラジカルはおもに単一活性種で構成されることを明らかとし、ラジカルの数十分もの長寿命を観測した。照射10分後におけるESRスペクトル測定においては、OHラジカルとの反応により生成したカルボキシメチル基上のラジカルと同一のスペクトルが観測され、長寿命ラジカルはOHラジカル由来のカルボキシメチル基上のラジカルであると同定された。長寿命ラジカルの減衰挙動は強く一次反応に従い、減衰速度はCMC濃度から影響を受けることがわかった。
佐伯 誠一; 長澤 尚胤; 廣木 章博; 森下 憲雄; 玉田 正男; 室屋 裕佐*; 工藤 久明*; 勝村 庸介*
no journal, ,
カルボキシメチルセルロース(CMC)などの多糖類誘導体は濃厚水溶液における放射線照射により架橋反応を起こしゲル化する。しかし、CMCの放射線架橋メカニズムの詳細は明らかではなく、照射後に生成する多糖ラジカルの同定もなされていない。そこで本研究では、水の放射線分解生成物であるOHラジカルとの反応により生成するCMCラジカルの同定を目的とした。高速流通法を用いたESR測定法により水溶液中におけるCMCラジカルを観測し、ラジカル周辺の水素原子配置や超微細結合定数などの考察から、カルボキシメチル基の第2級炭素上のラジカルであると同定した。
山下 真一; 勝村 庸介; 前山 拓哉*; 村上 健*; Meesungnoen, J.*; Jay-Gerin, J.-P.*
no journal, ,
これまで放射線医学総合研究所(NIRS)の重粒子線がん治療装置(HIMAC)においてがん治療用GeV級重粒子線を用い、広いビーム条件で水の放射線分解における主要生成物のプライマリ収量を測定してきた。測定結果をモンテカルロ法,拡散モデルといったシミュレーションの結果と比べ、トラック構造について検討した。
前山 拓哉*; 山下 真一; 勝村 庸介; Baldacchino, G.*; 田口 光正; 木村 敦; 村上 健*
no journal, ,
Coumarin-3-carboxylic acid(CCA)は水の放射線分解で生成するOHラジカル(OH)を捕捉し、その一部は数nMの高い感度で定量可能なケイ光物質となる。実際のがん治療で患部に照射されるブラッグピーク近傍をCCA水溶液に照射し、その際のOH収量評価を試みた。高エネルギー重粒子線の特にブラッグピーク付近では核破砕(フラグメンテーション)が無視できなくなる点も検討した。
平出 哲也; Lee, J.*; 中村 剛実
no journal, ,
水中に入射した陽電子はイオン化・励起を行いスパーを形成し、このスパー形成を繰り返しながらエネルギーを失っていく。陽電子はターミナルスパー近くで熱化し、一部はポジトロニウムを形成し、75%がオルソ-ポジトロニウムとして1.8ナノ秒程度の寿命で消滅していく。このオルソ-ポジトロニウムもターミナルスパー内の活性種と反応する可能性があり、Stepanovらは特にスピン交換で寿命が影響を受けていると指摘している。われわれは新たに、陽電子消滅寿命-運動量の相関測定からこれら解釈の妥当性を検討した。その結果、Stepanovの解析から予想されるように、消滅線ピークのドップラー広がりから、3ナノ秒程度の領域でパラ-ポジトロニウムへの変化が観測され、Stepanovの解釈が定性的に正しいと考えられる結果を得た。
永石 隆二; 山田 禮司; 佐藤 日出夫; 黒沢 明; 綿引 優; 檜山 敏明
no journal, ,
使用済核燃料の再処理で排出される放射性廃棄物のガラス固化体の分析片を線源として、水溶液中の放射線誘起反応を研究した。4価セリウムや6価クロムの還元を用いた固化体の線量評価では、固化体片から発生するCs-137の線だけでなく、Sr-90などのベータ線も水溶液中の反応に関与する結果を得た。また、Co-60の線源と比較して、ガラス固化体の線源利用について考察した。
箱田 照幸; 松本 加奈江*; 水野 彰*; 広田 耕一
no journal, ,
塗料工場からの換気ガス中に含まれるキシレンなどの電子ビーム(EB)照射による分解処理技術の開発のために、本研究ではEB照射と貴金属を担持していない-AlOを併用して、キシレンやその副生成物の分解を促進する触媒設置条件を明らかにするととともに、触媒表面上の酸化反応を定量した。その結果、電子が直接入射する位置に-AlO層を設置した場合に、主に副生成物が-AlO表面上で分解し高濃度のCOが得られることがわかった。このCOは、照射によりアルミナ上に生成した酸化力の大きな正孔により有機物が分解することにより生成することが推察された。
Lin, M.; Jay-Gerin, J.-P.*; 勝村 庸介; 室屋 裕佐*; Meesungnoen, J.*; 山下 真一
no journal, ,
本研究では重水中25MPa下の、380, 390, 400Cにおける水和電子の密度依存性の吸収スペクトル測定を行うとともに、その結果と報告値を比較検討した。その結果、25MPa一定圧力下では吸収ピークエネルギーは温度の上昇とともに、超臨界水状態も含め単調に減少するのに対し、一定密度(0.2, 0.65g/cm)では臨界点近傍で最小値を示すことを見いだした。この挙動は超臨界水中の局所密度や局所の構造の揺らぎの観点から説明できる。
Lin, M.; 勝村 庸介; Fu, H.*; Yan, Y.*; 室屋 裕佐*; 山下 真一
no journal, ,
パルスラジオリシス法によりグリセロール中の溶媒和電子の吸収スペクトルの温度依存性を室温から250Cに渡り測定した。グリセロール中の溶媒和電子のモル吸光係数を再検討した後、ピコ秒からマイクロ秒に渡る収量の時間依存性を測定した。
高橋 宏行*; 勝村 庸介; Lin, M.; 室屋 裕佐*; 熊谷 友多; 工藤 久明*
no journal, ,
本研究では水の放射線化学反応の一つであるOHラジカル(OH)の酸解離反応OHH+Oのp値を高温まで測定・評価することを目的とし、この際、一般的な芳香族化合物である安息香酸アニオンをOH及びOの捕捉剤として用いた。まず可視領域における過渡吸収スペクトル測定を行い、上記の捕捉反応で生成される中間活性種の同定を行い、次いでこれらの生成挙動並びに競争反応法から上記の捕捉反応の速度定数を決定した。さらに測定した速度定数の温度依存性から高温におけるOHの酸解離反応 のp値の評価を試みた。
Fu, H.*; 勝村 庸介; Lin, M.; 室屋 裕佐*; 端 邦樹; 藤井 健太郎; 横谷 明徳
no journal, ,
パルスラジオリシス法によりラジカル捕捉剤カルノシン及びその誘導体の酸化性ラジカル(OH, Br, NとCClOO)との反応性を検討し、生成するラジカルのスペクトルと反応性を決定した。さらに、プラスミド-DNA (pUC 18)のX線誘起損傷に対する保護効果を検討し、抗酸化剤として働くことを明らかにした。
藤井 健太郎; 横谷 明徳; 鹿園 直哉
no journal, ,
高輝度放射光施設(SPring-8)原子力機構専用軟X線ビームライン(BL23SU)から得られる単色軟X線を線源とし、OHラジカルを介さず光電効果及び低速2次電子の作用によりのみ直接生じる損傷の収率の光子エネルギー依存性を明らかにすることを目的とし、DNA分子内の主鎖や塩基サイトに生じる選択的な分子変化を観測した。塩基損傷の検出は、照射試料を塩基除去修復酵素で処理することによって塩基損傷を鎖切断に変換することで定量した。それぞれの収率は、軟X線のエネルギーに依存し、特に酸素K殻吸収によって鎖切断及び塩基損傷の収率の有意な増加が見られた。
浅野 雅春; 木村 祥亮*; Chen, J.; 前川 康成; 吉田 勝
no journal, ,
膜厚方向の高いプロトン伝導性と膜の寸法変化抑制を目的に、イオンビームにより潜在飛跡を形成させたフィルムに、基材表面にのみラジカル生成が可能な光グラフト重合を組合せた新たなグラフト重合技術で電解質膜を作製した。膜厚25mのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)にNイオン(56MeV)及びXeイオン(450MeV)を各々310ions/cmのフルエンスで照射後、加熱処理によりラジカルを消失させた。この潜在飛跡領域を持つフィルムに光グラフト重合を利用してスチレンをグラフト後、クロロスルホン酸処理により電解質膜を得た。得られた電解質膜の膜面方向と膜厚方向のプロトン伝導度を評価したところ、Nイオン照射系ではほぼ同じ値(0.030S/cmと0.035S/cm)であるのに対し、Xeイオン照射系はそれぞれ0.043S/cm, 0.080S/cmと膜厚方向に高いプロトン伝導性を持つ電解質膜が得られることがわかった。これは、潜在飛跡(損傷領域)の大きさがNイオン照射系の60nmに対し、Xeイオン照射系では220nmまで拡大することにより、飛跡内にグラフト鎖が進入しやすくなったと推察した。
Lin, M.; 室屋 裕佐*; Han, Z.*; 山下 真一; 作美 明*; 上田 徹*; 勝村 庸介
no journal, ,
パルス-プローブ法を用い、22MeV Sバンド電子線LINACとTi:Sapphire fsレーザからなる超高速パルスラジオリシスシステムを開発してきた。fsレーザの基本波(795nm)を二分し、一方は三次高調波(265nm)に変換した後、レーザフォトカソードRF電子銃に入射して電子線発生に用い、他方は光学的パラメトリック増幅器(TOPAS, Light Conversion Co. Ltd)に入射し、5352600nmという広い波長域で可変な分析光に変換して用いた。これにより短寿命化学種の広い波長域における挙動が観測可能となった。最近ではレーザフォトカソードをMgからCsTeに置き換えることで、ビーム特性を向上させることに成功した。具体的には2nCの電荷,2psのパルス幅(FWHM),3mmのビーム径が実現している。さらに、このシステムを利用することで水及び種々のアルコール中における水和前電子並びに水和電子の初期収量や過渡的挙動を観測した。
伊藤 賢志*; 岡 壽崇*; 小林 慶規*; 白井 泰治*; 和田 健一郎*; 松本 昌高*; 藤浪 真紀*; 平出 哲也; 誉田 義英*; 細見 博之*; et al.
no journal, ,
金属中の空孔型欠陥や高分子中の自由体積空孔の検出・測定に有効な陽電子寿命測定法において、これまで異なる研究室で得られた結果の同等性や信頼性はほとんど検討されてこなかった。ここでは、バルク陽電子寿命測定のための測定プロトコルや標準物質の検討結果に基づいて実施した試験所間比較試験結果における不確かさの要因について考察した。金属試料ではさらなる検討が必要であることがわかったが、ポリカーボネート及び石英ガラスでのオルソーポジトロニウムの寿命値の結果では過去の国際比較試験に比して半分以下の不確かさが実現できた。
山田 禮司; 熊谷 友多; 永石 隆二
no journal, ,
放射線触媒反応による水素ガス生成の最適化を目的に、これまでの研究で比較的良好であったアルミニウム及びジルコニウムの酸化物粉体に注目し、酸化物触媒としての最適性を調べた。酸化物粉体を添加した硫酸水溶液にCo-60線を照射した際に発生する水素ガスを照射後に定量した結果、アルミニウム系酸化物では、高温焼成した粉体で水素ガスが最も効率よく発生し、粉体の焼成温度が同じ場合には粉体の表面積が大きいほど水素発生は良好であった。ジルコニウム系酸化物では、YO, CaO, MgOを添加した場合、YO, CaO添加では水素発生は増加し、MgO添加では減少する構造敏感性に関する知見を得た。
Park, J.*; 榎本 一之; 山下 俊*; 前川 康成
no journal, ,
高温作動形燃料電池用電解質膜の作製を目的に、シクロヘキシル環を有する脂環式ポリイミドのグラフト型電解質膜の合成を行った。脂環式ポリイミド膜に線を220kGy照射後、スチレングラフト重合をAr中、60Cで行い、反応時間によるグラフト率(GD)がGD=80%の範囲で制御できた。グラフト鎖のスルホン化反応は30C, 0.05Mクロロスルホン酸中で行い、GD43%でスルホン化がグラフト鎖へ選択的に進行し、スルホン化反応4時間でスルホン化率(SD)が100%に達成できることがわかった。得られたSD=73%, GD43%の電解質膜は、41%の低含水率でナフィオンに匹敵する0.07S/cmのイオン伝導度を示した。本研究により、脂環式ポリイミドはGDとSDの制御で簡便に電解質膜の作製ができることが確認され、今後シクロヘキシル官能基を用いるグラフト型電解質膜への応用が期待できる。
田口 光正; 倉島 俊; Baldacchino, G.*; 須郷 由美; 木村 敦; 広田 耕一; 勝村 庸介*
no journal, ,
重イオン照射による水中化学反応を詳細に理解するために、TIARA施設において、チョッパーにより任意のパルス幅で制御した重イオンをAVFサイクロトロンにより加速・照射するとともに、活性種挙動を直接観測するための高感度な過渡吸収システムの開発を行った。電気的なチョッパーをイオン源とサイクロトロンの間にインストールすることで任意の時間幅の重イオンパルスを形成することに成功した。さらに、イオンビームとほぼ同軸上で観測光を試料を通過させることで重イオンの短い飛程による光学系調整の困難を克服するとともに、差動測定法を用いた高感度な分光測定システムを構築した。本システムにより、OHラジカルや水和電子によって引き起こされる反応の時間分解測定に成功した。
端 邦樹; 勝村 庸介; Lin, M.; 室屋 裕佐*; Fu, H.*; 山下 真一; 工藤 久明*; 中川 恵一*; 中川 秀彦*
no journal, ,
放射線防護剤としての利用が期待されている抗酸化性薬剤エダラボン(3-methyl-1-phenyl-2-pyrazolin-5-one)やその誘導体の反応性について、パルスラジオリシス法を用いて反応初期過程の測定を行った。誘導体とOHとの反応性はエダラボンと同程度に高く、優れたラジカル捕捉剤であることが示された。また本測定により、ピリジン環を持ったエダラボン誘導体とスピントラップ剤DMPO(5,5-dimethyl-1-pyrroline-N-oxide)との相互作用が示唆された。